車のバッテリーは、エンジン始動時や大きな電力を要する時にバッテリーに充電されている電力で補うことになります。車に必要な電気は発電機(オルタネーター)から電力を供給していますが発電機でまかなうことができない過度な電力にはバッテリーからの供給になります。今回は、エンジン始動時などの重要な役割を担うバッテリーの仕組みとチェック・交換方法とその形式の見方をご紹介します。それでは、バッテリーの充電の仕組みから見ていきましょう。
バッテリーの充電の仕組み
バッテリーとは何かというと電池(鉛電池)です。バッテリー内で化学変化を起こし放電、発電機(オルタネーター)で充電されたりします。これによって電力をまかなうことで電力を一定に保つことができます。
バッテリーの役割
重要なバッテリーの役割は車が走っている時は、発電機にあたるオルタネーターが電気を発しバッテリーや電装部品などに電気を供給しています。
オルタネーターは電気を発電しますが、ではバッテリーの役割はなんでしょう?
バッテリーの役割は、エンジン始動時にスターター(セルモーター)を回すために大きな電力が必要で、その電力はバッテリーに充電されている電気が必要となります。バッテリーはエンジン始動時に大きな役割を担っています。
バッテリーの構造
バッテリーの構造は陽極板の酸化鉛と陰極板の鉛で出来た複数のセル(層)になっています。この中は二つの極性の板を仕切られているセパレターの三つで構成され、|陰極板|セパレーター|陽極板|と配列された順番に並んでいます。これらは電解液の中に浸されています。電解液は充電されている状態では希硫酸になっています。このようにバッテリーは化学変化によって充電や放電を続けています。
バッテリーの放電、充電中の状態を見ていきましょう。
➊放電中のバッテリー内の化学変化
各電装品(スターターモーター、エアコン、カーステレオなど)に放電されている時は陰極板は鉛から硫酸鉛へ、陽極板は酸化鉛から硫酸鉛に化学変化を起こし電解液は希硫酸から水へと変化します。

➋充電中のバッテリー内の化学変化
充電器(オルタネーター)から充電されるとき、陰極板の硫酸鉛から鉛へ変化し、硫酸鉛から酸化鉛へと変わり電解水は水から希硫酸へと化学変化します。

バッテリー上がり
上図のようにバッテリーが充電すると陰極は硫酸鉛が鉛へ陽極は硫酸鉛が酸化鉛に変化し電解液は水から希硫酸へと変化し始める。放電が開始されると陰極と陽極は硫酸鉛へ電解液は希硫酸から水へと化学変化を起こしていきます。
この時に電解液の希硫酸の水が多くなると電気を蓄えることができずにバッテリー上がりになっていきます。
バッテリーのチェックのやり方
電解液は充電中、電気分解され陽極に酸素ガス、陰極に水素ガスが発生します。バッテリーを使用しているとこのガスが発生することで、バッテリーの電解液が徐々になくなっていきます。そこで電解液の補充が必要です。
電解液のチェック方法
電解液(バッテリー液)が少なくなっていくので、チェックが必要になります。チェック方法はバッテリーの側面に液量の状態が分かるように液が透けて見えます。
そこにUPPER LEVEL(最高液量)、LOWER LEVEL(最低液量)の二本線(レベル)が表示されています。LOWER LEVELを下回った時は、電解液(バッテリー液)を入れて補充を行います。
12Vのバッテリーは、セルが六つに分かれています。セル毎に電解液の量の減りが違うので、減っているセルに対して補充が必要となります。
※ちなみにセルが増えると電圧も上がります。
電解液の補充方法
電解液の補充方法は、一般的な12V(6セル)のバッテリーで見ていきましょう。バッテリーの上部に6セル分の六つの蓋があります。各セルの蓋を外すと精製水を入れる注ぎ口が出てきます。その注ぎ口から精製水を注ぎ足して補充を行います。
精製水を入れる量は、UPPER LEVEL(最高液量)の線(ライン)まで注いで足して行きます。精製水を注ぎ終えたらセルの蓋を締めていきます。
バッテリーに精製水を注ぎ足す際の裏蓋に付いている電解液を衣服に付かないように気をつけましょう。選択時に穴が開いたり、服がボロボロになります。
又、皮膚に付かないようにゴム手袋、ゴーグル(メガネ)を着けて作業を行いましょう!
車のボディーにもつかないようにしましょう。塗装面が剥げてしまうので注意が必要です。作業時には養生が必要です。
付着した時は、直ぐに水で洗い流すようにしましょう。

【精製水の補充】
バッテリーに精製水を注ぎ足すことで元の性能が発揮でするようになります。
電解液の補充について
充電時に、電解液中の水が電気分解され陰極に水素ガス、陽極に酸素ガスが発生することでバッテリー内の電解液が徐々に失われていきます。バッテリーの性能維持には電解液が減ってくるのをチェックし、LOWER LEVELを超えた場合に精製水を入れ補充を行いましょう。良好なバッテリーの機能を保つことができます。
バッテリーの電解液が不足の状態はヘッドライトが暗くなったり明るくなったりを繰り返します。エンジン始動時にもスターターモーターの動作も悪くなります。
バッテリーを充電する際に電解液を電気分解や自然放電の発生を抑えた構造によるメンテナンスフリー構造のメンテナンスフリーバッテリー(MF)が現在、増えてきています。メンテナンスフリーと呼ばれてはいますが全くチェックを入れなくてもいいわけではないので電解液のチェックも必要なので確認しましょう。
バッテリーの交換方法(チャレンジしよう!)
バッテリーはいくらチェックをしていても長年使用していると交換が必要になってきます。それは、バッテリーの経年劣化や不具合によるものです。このような時がきても自分で交換ができるのでチャレンジしましょう。
バッテリーの交換(取り外し)
バッテリーの交換は自分でも出来るDIY!
バッテリーのある場所は、一般的にエンジンルームに設置されています。それでは、バッテリーの交換(取り外し)を見ていきましょう。
- ボンネットの扉を開けエンジンルーム内のバッテリーを確認します。
- バッテリーをエンジンルームに固定している留め金具(ステー)をスパナ、メガネレンチなど使い取り外していきます。
- 留め金具の次に、バッテリーの ⊖ 端子からケーブルをレンチなどを使い外します。
- ⊖ 端子を外し終えたらバッテリーの ⊕ 端子からケーブルをレンチを使い外していきます。
- ⊖ ⊕ 端子からケーブルが外せたら、バッテリーを持ち上げ、エンジンルームから取りだします。
取り外し作業は、ここまでです。
バッテリーは見た目とは違ってかなり重いです!エンジンルームから取り出す時は腰を痛めないようにしましょう。
ボディーに接触しないように持ち上げ丁寧に慎重に!
バッテリーの上げ下ろしの際に中の電解液が飛び散らないように作業をしましょう。衣服に付くと穴が開きボロボロになりますよ!非常に強い酸性で危険です!
作業時には、ゴム手袋、ゴーグル(メガネ)を着用しましょう!
新しいバッテリーの取り付け
新しいバッテリーを用意します。エンジンルームのバッテリーの設置場所に新しいバッテリーを載せていきます。バッテリーの向きに注意して設置しましょう。
- バッテリーを設置します。この時も重いので腰などに負担のかからないように持ち上げましょう。※注意点も再度確認してくださいね。
- バッテリーの留め金具をレンチ、スパナなどで取り付けていきます。工具が ⊖・⊕ の端子に接触しないように取り付けましょう!
- バッテリーの ⊕ の端子にケーブルを取り付けます。
- 次にバッテリーの ⊖ 端子にケーブルを取り付けます。
バッテリーを留め金具(ステー)で固定した際にぐらつきが無いか少し揺らして確認しましょう。
バッテリー交換でメガネレンチ、スパナなどの工具を使いますが、両端子に接触しないようにしましょう。接触するとスパークし危険なので注意しましょう。
バッテリー形式の見方
バッテリーを自分で購入する時の選び方のポイントを見ていきましょう。
バッテリーにはサイズや端子の配置、性能の種類があります。間違って選んでしまうと取り付けられなかったり性能面でバッテリーの容量が足りないといったことが考えられます。
バッテリー形式とは
バッテリーは「JIS規格:JIS D 5301」によって定められた表示をバッテリー形式と呼ばれる表記で示されています。
バッテリー形式に示されている表示は、性能ランク、バッテリーの短側面サイズ、長さ寸法、極性(端子)の配置を示しています。
バッテリー形式の読み方
例えば『44B19L』といったバッテリー形式で解説していきます。
【バッテリー形式の見方】
44B19L
➊44 ➋B ➌19 ❹L
➊性能ランク
バッテリーの総合性能を表します。(バッテリー容量や始動性など)
38、40、42、44、50、55、60、65、70、75 など
数値が大きいほど性能がよくなっていきます。
数値の 50未満は2で刻み、又 50以上は5で刻む表示になります。
性能ランクは「JIS D 5301 始動用鉛蓄電池」で定義されています。
性能ランク=(√(CCA)×√(RCn)) / 2.8
CCA:定格コールドクランキング電流b
RCn:定格リザーブキャパシティ
例え:CCA 300A (定格値)で RCn 51分(定格値)だと…
性能ランクは (√(300)×√(51))/2.8 = 44.0 表示の値は 44 となります。
➋バッテリーの短側面サイズ
JIS規格で幅、高さは区分で決められています。
記号の単位はA~Hまであり、A→H の順で大きくなっています。
短側面サイズ=幅×箱高さ(単位:mm)
記号 | 幅 | 箱高さ |
A | 127 | 162 |
B | 129(127) | 203 |
C | 135 | 207 |
D | 173 | 204 |
E | 176 | 213 |
F | 182 | 213 |
G | 222 | 213 |
H | 278 | 220 |
➌バッテリーの長さサイズ

【バッテリー寸法】
バッテリーの長さ、側面の長さを表します。上記の 44B19L を例にあげると 19cmになります。
❹バッテリーの極性位置

【バッテリー上面の極性位置】
バッテリー上面から見た ⊕ ⊖ 端子の位置です。間違えたタイプを選んでしまうと配線が取り付けられないのでよく確認しましょう。
バッテリーを間違えても使えなくもないのですが、配線が届かないことや性能面で劣ったり長持ちしないことも考えられます。適正なタイプを選んだ方がいいですね。

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まとめ
今回は、車のバッテリー充電の仕組みとチェックのやりと選ぶときの形式の見方、交換方法をご紹介しました。
バッテリーは、普段はあまり意識をしない(壊れない)パーツに思いがちですが、突然のバッテリー上がりになるとかなり困ります!そんな時、自分で選び、交換ができるとネットを使ったりもできます。
バッテリーのチェックをしてバッテリー上がりや長持ちさせるように点検を行うことが大事でした。
バッテリーの交換時は、腰や皮膚を傷めないようにしましょう。又、車のボディーにキズが付かないように慎重に作業を進めることが大事でした。
愛車のバッテリーをこまめに見てあげることで愛車も警戒に走ってくれると思います!
今回は、ここまでとなります。ご覧になった方は、いかがだったでしょうか。また、別の記事も見てくださいね。
皆様の愛車がいつまでも綺麗であり続け安全に事故の無いことを祈っています。
では、また次回にお会いしましょう!!