クルマのブレーキ部品や消耗品で気になるところって皆さんどこですか?一般的にブレーキパッドやブレーキローターを思い浮かべるかと。しかし普段、気にすることがない消耗品でブレーキのオイル。ブレーキオイルはブレーキフルードとも呼ばれブレーキの制動にとても大事なオイルになります。今回は、とても大事なブレーキフルードについてご紹介します。
ブレーキフルードとは
ブレーキフルードはどのようなものでどのような役割をするのでしょうか。
ブレーキオイルの役割を見ていきましょう。
ブレーキフルードはオイルの一種で、油圧の働きによってブレーキキャリパー内のシリンダーなどを動かしブレーキを掛けるといった役割を持っています。
【ブレーキフルードの役割】
ブレーキフルードは、ブレーキペダルを踏みこんだ際にえられた制動力をマスターシリンダーにかえしフロント、リア側のブレーキに油圧を加え伝達させていきます。これによってブレーキがはたらきタイヤを止めていきます。
【ブレーキフルードは劣化する】
ブレーキフルードの劣化の原因は、一般的なのが熱であったり水分の混入などが主な劣化の原因となります。
また走行中のブレーキの温度は何十度、何百度となることもある。
ブレーキから発生する温度はブレーキフルードに伝わり
これによって数百度(ºC)にも上昇することとなり劣化の原因にもなります。
さらには、熱が伝わってくることで熱せられたり冷えたりを繰り返すことによる温度変化で配管内にできた水分が熱せられ気泡が発生します。
またブレーキフルードを長期間放置し続け交換をしていない場合も劣化が進むことになります。
※ブレーキフルードは水分が含みやすい成分です!水分が含まれると沸点が低くなります。
気泡ができるとブレーキの制動が油圧低下となることでブレーキの効きが悪くなる。
ブレーキフルードの通る配管は金属でできているので、水分が含まれると腐食の原因にもなります。
ブレーキフルードの種類と区分
次にブレーキフルードの種類について。
ご存知でしょうか?ブレーキフルードは成分や規格によって区分されています。
ブレーキフルードの種類、区分を見ていきましょう!
ブレーキフルードの種類
【ブレーキフルードは主に3種類】
- グリコールエーテル系
- シリコーン油系
- 鉱物油系
上記の3種類に分けることができます。
次に材質の種類を解説します。
【ブレーキフルード材質3種類】
➊グリコール系(非鉱物油系)
ポリグリコールを基にグリコール類・グリコールエーテル・ホウ酸エステルなどで構成され潤滑性や酸化防止なども加えられています。
➋シリコーン系
シリコーンオイルを基に構成されたフルード。レース用やハーレーの純正に用いられています。
➌鉱物油系
重機に用いられている材質のブレーキフルードです。過去、ヨーロッパ車で採用されていましたが現在はほとんど使用されずになっている。
ブレーキフルード規格
【規格の3区分】
ブレーキフルードの規格は、アメリカ合衆国内の規格。
その区分は、主に3つの規格に分けられ「DOT3、DOT4、DOT5」で構成され
日本国のJIS規格もこれらの3つの規格に準拠し性能面においても同等になっている。
DOTは米国自動車安全基準でブレーキフルードの規格を分類し示しています。
【ブレーキフルード規格分類】
規格 | JIS規格 | ドライ沸点 | ウエット沸点 | 粘度-40ºC | 主成分 |
DOT 3 | JIS 3種 | 205ºC以上 | 140ºC以上 | 1500cst以下 | グリコール |
DOT 4 | JIS 4種 | 230ºC以上 | 155ºC以上 | 1800cst以下 | グリコール |
DOT 5.1 | JIS 5種 | 260ºC以上 | 180ºC以上 | 900cst以下 | グリコール |
DOT 5 | ー | 260ºC以上 | 180ºC以上 | 900cst以下 | シリコン |
【補足】
- JIS規格:DOT3がJIS3種、DOT4がJIS4種、DOT5.1がJIS5種と各々の規格に準拠しています。
- ドライ沸点:ドライ沸点とは、新車時の吸湿0%時での沸点の数値です。
- ウエット沸点:ウエット沸点とは、新車から約2年までの使用された車の沸点となります。吸湿は3.7%時での沸点の数値となります。
- 粘度:全ての粘度(100ºC)は1.5cst以上になっています。ブレーキフルードとは、流動性がわかる数値です。数値が高いと硬く流動性が悪く、その反対に低温時(冷間粘度)での数値が高いとABSなどの動作性能に影響があり性能低下を及ぼすことになります。
- ph値:全てのph値は、7.0-11.5になります。7.0以下だと酸性が強くなることで部品の腐食が進みます。
- 上記の粘度-40ºC 〔mmˆ2/s〕。
- 上記の規格外の製品も流通しているので記号の見方に注意です。
種類(JIS) | 記 号 |
---|---|
3種 | BF‐3 |
4種 | BF‐4 |
5種 | BF‐5 |
6種 | BF‐6 |
メーカー純正品でNR‐3という表記は、BF‐3と同じ内容と考えてもいいかと^^
ブレーキフルードの性能
ブレーキ性能を表すもので規格(DOT)や、沸点などがある。
いくつもの規格が分類がされこれらの意味や性能において規格の区分や内容を見ていきましょう。
DOTとは何でしょう
DOTとは先ほども出てきましたが日本で簡単に言えば「JIS」のような規格基準になります。雑ですが^^
ではどこの国の規格でしょう。
これまたアメリカ合衆国の規格になります。
アメリカ交通省の「Department of Transportation」の頭文字を取った略です。
ブレーキフルードの沸点とは
ブレーキフルードの沸点とは、液体が沸騰する温度。
ブレーキフルードの沸点は300ºC(沸点高)や140ºC(沸点低)になっています。(ちなみに水の沸点は、100ºCですね)
沸点が低いブレーキフルードを使い過酷な走行(サーキット、山道など)をしているとブレーキフルードの配管内に気泡ができます。
例えば、ブレーキの温度が300ºCでブレーキフルードの沸点規格が200ºC以下だとするとブレーキフルードの油圧配管内で熱せられた液体が気化することで気泡が発生するということになります。
溜まった気泡によって油圧が掛からずブレーキの効きが悪くなったり、最悪の場合ブレーキが効かなくなり非常に危険です。
※この状態は、「ペーパーロック現象」と言います。
一度は耳にしたことがあるかと思います^^
通常の走行でもブレーキ温度が200ºC以上に達することもあるので状況に応じた規格を選ぶようにしましょう。
吸湿率とは
吸湿率とは、ブレーキフルードと何か関係があるのでしょうか。
吸湿率は、空気中になる水分、水蒸気をブレーキフルードの成分であるグリコールが吸収しやすい特性を持っています。これにより水分、水蒸気の吸収を示すのが吸収率と呼ばれています。
ブレーキフルードDOT規格、使用車用途
DOT規格 | 使用車用途 |
---|---|
DOT3 | 街乗り:メーカー純正 |
DOT4 | スポーツ走行:ホンダ車で純正 |
DOT5.1 | レースなどのスポーツ走行:劣化による使用期限が早い |
DOT5 | 特殊車両:ハーレーダビットソン、ハマーなど |
ちなみにブレーキフルードの規格は数字(DOT4規格の4という数字)が大きいほど沸点は高くなっています。
ブレーキフルードは交換が必要
【マスターシリンダー】
ではブレーキフルードの交換は必要なのでしょうか?
今まで考えたこともない方もいらっしゃるかと思いますが、答えはもちろんYES必要です。
経年劣化委によって徐々にブレーキフルードの性能も低下すとされています。
ブレーキの効きが悪くなる前に交換することをオススメします。
次は交換時期の判断などを見ていくことにしましょう!
ブレーキフルード交換時期
車の用途や目的、車種にもよりますが、街乗りで通常の運転であれば基本は車検毎(2年~約3年)の交換が望ましいとされています。劣化の頻度によって交換時期を変えていらっしゃる方もおられますが早めの交換をしておくといいでしょう。
ワイディングロードやスピード走行などの車は、約半年や1年と言われています。
ブレーキフルードの使用量
ブレーキフルードの交換時での使用量は、全交換で約800ml程度になります(車種によっては若干の差があります)。
フロントだけならブレーキのキャリパー部品だけで約400mlです。
リア側はその半分の約400mlだと考えられます。
ブレーキフルード交換の目安
交換の目安は車検時の2年で、他の点検で普段と何か違うと感じられたら交換が必要になります。
普段と何かが違うとは、一体どのようなことでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
ブレーキフルードの量
ブレーキフルードの量を見るにはどこを見ればいいのでしょうか。
それは、エンジンルーム内にあります。
エンジンルームの運転席側、ボンネットを開け向かって左奥に設置してあります。外車は、左ハンドルもあるので向かって右に設けてあります。
設置されたブレーキフルードはリザーバータンクが取り付けてありタンクの容量を確認できるよう上の方にMAXの線が引かれて下側にMINの線が引かれています。
液量は、MAX-MINのラインの間にブレーキフルードがあれば問題ないです。
MINのラインを下回りブレーキフルードが減っている場合は、どのような対処が必要でしょう。
量が減っている場合に考えられることは…。
ブレーキパッドが減っている?
ブレーキパッドが減っている。
ブレーキキャリパーのシリンダーはブレーキパッドが減った分だけ押し出されていきます。
これによってシリンダーのブレーキフルードの体積量と同量のブレーキフルードもタンク内で目減りする。
このような減り方であった場合は、ブレーキフルードを足していきます。
※ブレーキパッドの減りの点検も必要になります。
配管からフルード漏れ!
ブレーキパッドの減りもなくブレーキフルードのリザーバータンクが目減りしていた場合、どのような原因があるのでしょうか。
こんな時はブレーキの効きが弱かったり、ブレーキペダルを踏むと「ふわふわ」しているようにも感じます。
ブレーキフルードの通る油系統の配管からフルード漏れを起こしていることが考えられます。
これらの状態があるならは速やかにディーラーや車の修理工場に持って行くことをおすすめします。
【楽天車検】
ブレーキフルードの色
ブレーキフルードの色も重要!
ブレーキフルードの量だけではなく、リザーバータンク内の色での判断も必要になります。
通常、新品のブレーキフルードは、透明ですが経年劣化や過酷な走行になるとブレーキフルードの色が変色していきます。
ではどのような色になるかと言うと、新品の時は透明ですが黄色に変わり茶色となって濁り最後には黒くなっていきます。
ブレーキフルードが変色する流れ。
透明
⇩
黄色
⇩
茶色 ←交換時期
⇩
黒色 ←早急に交換
一般的に見る劣化の色は茶色が多いですが、さすがに黒色は見たことはないです^^;
気を付けていたい点が一つ、ユーザー車検を受けた車は、交換をしない場合が多いので忘れずに交換をしましょう。
ブレーキフルード交換時は、ブレーキパッド残や配管などの劣化(ゴムの配管の硬化やヒビなどの破損)の場合はブレーキ系統の部品交換を行うこともお忘れず。
【ブレーキ系統の点検も!】
ブレーキホース(ゴム配管)、マスターシリンダー内部品(リザーバーシール、プライマリーカップ、Oリング、セカンダリーカップなど)、ブレーキキャリパー(ブレーキパッド、ピストンシール、ピストンブーツ)、ホイールシリンダー(ダストカバー、ラバーシール)
上記のブレーキ系統の各部位の確認も必要になります。
ディーラーや車の修理工場のプロに持って行くことをおすすめします。
おすすめのブレーキフルード
次にブレーキフルードは、どれを使えばいいのかを解説します。
おすすめのブレーキフルードは?
【よく選ばれているランキング3選】
ブランド | HONDA |
---|---|
名 称 | ブレーキフルードウルトラBF DOT4 |
用 途 | ブレーキフルード |
容 量 | 1L |
価 格 | 1,544円 |
ホンダ車のブレーキ性能を引き出すための沸点性能が高く高品質なブレーキフルードになっています。
交換時期の目安は、新車の初回は3年、2回目以降は2年ごとの交換となります。
保存期間については、製造日から3年以上にならないように気を付けましょう!
ブランド | カストロール |
---|---|
名 称 | ブレーキフルード DOT4 Castrol |
用 途 | 4輪車推奨 スポーツ走行にも対応 |
容 量 | 500ml |
価 格 | 1,447円 |
安定したブレーキフィーリングでスポーツ走行にも高ドライ沸点で安定し高性能を発揮します。
容量が500mlになっているので使用量と比較し選びましょう^^
ブランド | 古河薬品工業(KYK) |
---|---|
名 称 | ブレーキフルード BF-4 |
用 途 | ブレーキフルード |
容 量 | 1L |
価 格 | 847円 |
JIS規格及び米国連邦規格以上の高沸点であり厳しい条件下でも組性能を安定して性能を保持します。
優れた低高温時の粘度の特性を兼ね合わせ持ち品質を実現していることもあって、ブレーキ油系統に使用されている金属部品等に対してサビ・腐食の発生が起きにくく、ラバー部品にしても膨潤、硬化、軟化などの影響を及ぼさせないのが特徴。
※Amazonさん調べ
ブレーキフルードの交換費用
ブレーキフルードの交換費用は?
ブレーキフルードの交換費用にはフルード使用量+工賃が含まれます。
ブレーキフルードの使用量は約800mlは使い、それに工賃が約30分~45分程度かかるとして、
合わせて約5,000円~8,000円が相場(あくまでも目安、状況によって価格が変わることもあります。事前に確認をしておきましょう)。
交換は12ヶ月、24ヶ月点検時のタイミングで一緒に交換するのをおすすめします。
目安になっているのでまず初めに見積もりを取っておきましょう!
まとめ
今回は、ブレーキフルードとは、また交換についてご紹介しました。
普段、気にならないブレーキフルードの役割は大変重要な仕事をしてくれています!
そんなブレーキフルードは、12ヶ月・車検前といった整備や修復時に点検し、劣化の前に交換を行うことを心がけたいものです。
またユーザー車検を受ける際は、よく点検・確認をしておきましょう。
ユーザー車検は交換の時期を忘れたりすることもあるので、交換をすることをおすすめします。
ブレーキが効かないと事故にもなりかねないので注意が必要です。
今回は、ここまでとなります。ご覧になった方は、いかがだったでしょうか。また、別の記事も見てくださいね。見ていただくと励みになります。
皆様の愛車がいつまでも綺麗であり続け安全に事故の無いことを祈っております。
では、また次回お会いしましょう!